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初冬に羽化したルリタテハ


 下の写真のルリタテハは、昨年12月7日の朝に名古屋市緑区の知人宅の玄関ポーチで撮影されたもの。玄関わきの植栽のホトトギス(タイワンホトトギス)で発生したもので、前日12月6日の午後に羽化し、そのまま寒空のもと一夜を明かして翌朝飛び去ったという。 

名古屋市緑区にて(2024年12月7日)
名古屋市緑区にて(2024年12月7日)

 ちなみに、この期間の名古屋の気温を調べてみると次のとおり。

<2024年 名古屋>

12月  1日 最低6.0℃ 最高15.8℃

12月  2日 最低5.7℃ 最高16.8℃

12月  3日 最低5.9℃ 最高18.3℃

12月  4日 最低8.7℃ 最高15.4℃

12月  5日 最低7.0℃ 最高13.9℃

12月  6日 最低5.9℃ 最高14.0℃・・羽化

12月  7日 最低6.3℃ 最高  9.5℃・・旅立ち

12月  8日 最低3.7℃ 最高  9.4℃

12月  9日 最低2.4℃ 最高12.2℃・・初霜

12月10日 最低1.7℃ 最高13.6℃

 

 羽化当日の12月6日の最高気温14.0℃は、蝶が羽化したり活動するには結構厳しいと思える。まして翌7日の気温は蝶が活動できるとは到底思えない低温で、きっとルリタテハにとって凍える寒さのなかの必死の旅立ちだったろう。

 12月9日には名古屋で初霜も観測されて本格的な冬の到来となったことを思うと、もし1日でも遅れていたら羽化できずに凍え死んだか、よしんば羽化したとしても飛び立てずに凍え死んでいたかもしれない。まさに薄氷を踏む脱出劇であった。

 とはいえ飛び立った後も十分に活動できる気温とは思えず、はたして無事越冬場所を見つけられたかどうか…。

 ルリタテハの秋型の発生時期について手元の図鑑類を調べると「9月から10月」と書かれている。インターネットで調べてみると、最近は11月の羽化例もあるようで、中には11月下旬というのも見つかった。温暖化の影響で後ろにずれたに違いないが、それにしても12月に羽化する個体がいるとは驚きである。

 以下に、知人が送ってくれた写真の中からいくつかを掲載する。

 玄関わきだから観察しやすいとはいえ、まめに観察していて、何よりよくぞ羽化に気付いたと思う。さらには翌朝の旅立ちも逃すことなく、よくぞ撮影したと感心する。

 なお、このホトトギスでルリタテハが発生したのは昨年が初めてではなく、これまでも何度か発生しているらしい。

知人宅の玄関わきのホトトギス。下に羽化時の排泄物の跡が見える。(2024年12月7日)
知人宅の玄関わきのホトトギス。下に羽化時の排泄物の跡が見える。(2024年12月7日)
終齢幼虫 <2024年11月1日>
終齢幼虫 <2024年11月1日>
蛹(2024年11月12日)
蛹(2024年11月12日)
羽化。左に蛹殻が見える。(2024年12月6日)
羽化。左に蛹殻が見える。(2024年12月6日)