名古屋市千種区の自宅近くの路上で、6月4日(土曜)午前9時ごろ、私の目の前を不意にホシミスジらしき蝶が横切った。一瞬の出来事で、気付いた時にはよその家の生垣の向こうへと姿を消していた。
1時間後、淡い期待をいだいて同じ場所を通りかかると、まるで先ほどの蝶が私に挨拶でもしに来たかのように庭先から現れて、私の身体にまとわりつくようにゆっくり一周して再び生垣の向こうへと消えた。それからあわててスマホを取り出してカメラの準備をする自分が、なんだかとってもマヌケで情けなかった。
それにしても、本来は山地性のはずのホシミスジが近年なぜか名古屋近郊に定着していることを伝え聞いて知ってはいたが、まさか自宅のすぐそばに現れるとは思ってもみなかった。
そしてその時だった。ぼう然と立ち尽くす私の目の前で、何やらチョロチョロと動くものがあった。 ―― ムラサキシジミだ! 傷心の私を慰めに出てきてくれたのだろうか。アラカシの生垣で、わざわざ翅を開いて美しいブルーを私に見せてくれた。
ムラサキシジミ自体は名古屋市内でもそれほど珍しくはないかもしれないが、自宅周辺で見るのは10年ぶりぐらいの気がする。それに、いる場所が食樹のアラカシの生垣なので、もしかすると一時的にしろここで発生しているのかもしれない。
それにしても、名古屋市内の住宅街でホシミスジとムラサキシジミが同時に見られるお宅っていったいどうよ。
そんなこんなで、アラカシの生垣の向こう側のよそ様の庭に、つい想像を巡らす私であった。
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