この木なんの木 気になる木 ー オオバイチジクの木の下で
幹から直接花が咲いたり実がなったりする奇妙な木がある。幹生花(果)と呼ぶのだそうで、オオバイチジクはその代表例だ。これまでもマレーシアなどで見た覚えがあるが、こんな大木は初めて見た。
その木はマック湖のほとりの、いくつかの建物が建ち並ぶ一角にある。下から上まで実がいっぱい付いていて、さらには熟れた実が地面にたくさん落ちていた。なんとも濃厚な甘い香りが辺りに立ち込め、これにEuthaliaやTanaeciaなどのイナズマチョウの仲間がやって来た。
確認できた種を列記すると、ジュリーコイナズマ、ヤーヌコイナズマ、モニナイナズマ、ルベンチナベニボシイナズマ、フェミウスイナズマ、エベリナイナズマ、バルダリスオオイナズマ、チャイロフタオ、シロヘリスミナガシ、コノハチョウ、ダルリサマダラジャノメ、ウスイロコノマチヨウ、以上12種類は少なくともここで見られた。
親子が帰ってから、何気なく上の方を眺めていて急に我に返った。これまで足元の落果にばかり気を取られていたが、頭上の熟れた実に見たことのない大型のイナズマチョウが来ている。どうやらフェミウスイナズマの♀らしい。
そして次に、今度は頭上にばかり気を取られていると、ふと気付くと目の前の地上50cmほどの幹から出ている実にコイナズマが来ていた。
なんだ、ジュリーか。
今度のは普通種のジュリーコイナズマだったため、ついスルーしかかった。それでも何か気になるものがあったか、律儀に数枚の写真を撮ってあった。
帰国後、写真を整理していて「しまった」と思ったが、もう遅い。蝶が来ていたのは熟した実なんかじゃなく、まだ青くて若い実だ。というか「無花果(いちじく)」というぐらいだから花らしい花は咲かないと思われ、多分これが花に相当するもので、どこからか蜜を出しているに違いない。
実際、写真をよく見ると、2頭のうちの1頭(ヤーヌコイナズマ)は、アンテナをピンと張って青い実のてっぺんの茶色くなった部分に口吻を伸ばして舐めているように見える。もう1頭のジュリーは何をしているのか定かでないが、いずれにしてもこの青い実だか花だかに飛来したことは間違いなさそうだ。
現地での観察、確認を怠ったがために、すべては推測の域を出ず、後の祭りとあいなった。
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