· 

ひとりじゃないから、大丈夫。

 遠位型ミオパチーという病気をご存知だろうか。手足など体の中心から遠い部分から徐々に筋肉が衰えて、やがては寝たきりになる。そんな進行性の難病に犯されながらも、患者会の代表として日々前向きに活動に取り組む織田友理子さん。障害者が普通に外出できる社会の実現を目指して、ハードとハートのバリアフリーを唱え全国を講演してまわり、世界各国へも電動車椅子で出かけるという。

織田友理子さんと洋一さん(後列中央)。右が筆者。名古屋ガーデンパレスにて(2019年2月8日)。
織田友理子さんと洋一さん(後列中央)。右が筆者。名古屋ガーデンパレスにて(2019年2月8日)。

 1年ほど前に講演を聞いてその生き方に感銘を受け、このたび私が担当する講演会に講師としてお招きした。

 大学4年のときに病気が判明し、今では自力で立つことも歩くこともできず、食べ物を口に運ぶことさえままならない。有効な薬も治療法もなく、病気はひたひたと進行する。昨日までできたことが、明日にはできなくなるかもしれない。

 そんな残酷な運命を背負いながらも、笑顔を絶やさず前向きに生きる。できないことをくよくよ考えても仕方がない。病気が進行するのは誰のせいでもない。できないことではなく、できることを考える。いま、自分に何ができるのか。自分にできること、自分だからできること、自分にしかできないこと‥。病気を言い訳にせず、障害があるからと諦めず、自分の進むべき道をまっすぐ見つめる。

 そんな友理子さんを全面的に支えているのが夫の洋一さん。日常の生活のあらゆるシーンで妻を支える。食事の介助から外出時のメイクやコンタクトレンズの着脱。起きている間はもちろんのこと、寝たら寝たで、寝返りが打てない友理子さんのために夜中に起きて寝返りをさせてくれるんだとか。夫婦“二人三脚”どころか、“おんぶにだっこ”で支えている。でも、それは決して夫が自己犠牲を払って妻を支えているとかではない。他人も羨むような夫婦愛がそこにある。

 他にもたくさんの人に友理子さんは支えられているという。でもそれはきっと、支えている人たち皆が、友理子さんと、そして洋一さんの生き様から生きる勇気と元気をもらっているのだ。

 支えているのではない、支え合っているのだ。

 そしてこの私も、遠巻きながらその一人に加えていただきたい、そう思った。

サイト

著書

ひとりじゃないから、大丈夫。/鳳書院 

DVD

Walker 「私」の道


 

※ 著書、DVDともAmazonで購入できます。