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加齢に伴う目の病気(2)

 右目の原因不明の視力低下におののいていた私が、セカンドオピニオンで白内障と診断されたことで逆にすっかり安心してしまった。これまでのところ日常生活にさしたる不自由もなく、もう少し先で手術を受けようかと考えていた。

 しかし、実のところひとつだけ重大な点で不便がある。蝶の採集である。昨シーズンあたりからやけに振り逃がしが増えていて、このサイトの「採集日記」の中でも、「これも加齢に伴う体力の衰えってやつが原因だろうか」 と嘆いたりしていた。ところが振り逃がしの原因が「体力の衰え」でなく、「白内障による左右の視力のアンバランス」と判明。右目だけ白内障が進んで左右のピントにズレが生じ、知らぬ間に距離感がつかめなくなっていたのだ。いずれにしろ老化が原因であることに変わりはないが、「体力の衰え」だと何らかの努力が必要だけれど、「白内障」ではどうしようもない。そう思うとかえって気が楽だ。

 なんて吞気なことを言っているうちに、またしても私を不安に陥れる事態が進行し始めた。40代半ばから老眼鏡が手放せなくなっていたのに、近ごろ老眼鏡なしでも何とか新聞の文字が読める。白内障のはずの右目の老眼が、徐々に「治ってきた」のだ。しかし、これって本当に白内障か? 白内障は言わずもがなの水晶体が白濁することによって見えにくくなる病気である。近くが見やすくなるなんてことがあるのか? まさか、まさか、「サードオピニオン」が必要か?

 なんだか医者に翻弄されている感がなきにしもあらずなので、まずはウェブで調べてみる。しかし、「白内障 老眼 治る」なんてキーワードで検索しても、「白内障の手術をしても老眼は治りません」てなバカバカしいサイトがぞろぞろヒットして、お目当ての情報はなかなか見つからない。それでも根気よく探していると、あった。やっとお目当ての情報を見つけた。どうやら白内障には大きく2パターンあって、水晶体が白濁する白内障のほかに、水晶体の内部が固くなる白内障があるらしい。内部が固くなると、水晶体の中にもうひとつ小さいレンズができたような感じになり、小さいレンズの方が屈折率が高いので近くに焦点が合うのだとか。これだ。素人診断ながら、やっと自分の症状にしっくり合う説明を見つけてひと安心。

 ということは、右目で近くを見て左目で遠くを見て遠近両用状態ってことで、これはこれでなかなか便利だ。どうしてこう都合よくできているんだろう。左右の視力のアンバランスにも近頃だいぶ慣れてきて、あまり苦にならなくなった。そんな訳で、もうしばらくはこのままでいいかなと、呑気に構えている今日この頃でありました。とさ。