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爆笑?カピバラショー @竹島水族館

 近ごろ竹島水族館が元気らしい、という噂はかねがね聞いていたが、「カピバラショーを始めた」と聞いては、これは行かずばなるまい。カピバラは言わずと知れた世界最大のネズミ。ネズミがショーをやる? はて、ミッキーのほか聞いたことがないぞ。ということで、シルバーウイークの5連休最終日に行ってきた。

 午前9時開館ということで9時20分ごろに着くとすでに正面駐車場は満車で、第2駐車場のような所に停めようとしていると、続々と車が入ってくる。大型連休の最終日ということで帰省先からの帰途に立ち寄ったのだろうか、遠方の県外ナンバーも目につく。1か所しかないチケット売り場にはあっという間に行列ができ、入館してすぐに館内満員で前へ進まなくなった。

 竹島水族館は地方の弱小水族館で、25年ほど前に雅恵が友達と来たときにはすでに老朽化して閑散としていたという。順調?にいけば早晩閉館の憂き目にあったろうに、それが4半世紀の時を経て奇跡の水族館として蘇った。いまプロジェクトXをやっていたらきっと出ていた(かな?)。「地上の星」は、大学を卒業して入ったばかりの一人の若手学芸員。先輩スタッフは誰もが魚好きで飼育や研究には熱心だが、魚を来館者に「見せる」ことには全く関心がない。そんな先輩たちの仕事ぶりに疑問を感じ、そして立ち上がった。しかし、出る杭は打たれて、すぐには上手くいかなかったという。それが旭山動物園の成功などが追い風となり、やがて風向きが変わった。

 水槽には魚の種類ごとに手作りの説明プレートが付けられている。いちいち説明が笑えるので、みんな熱心に読んでいて、それで前へ進まない。中には子どもに読んで聞かせる親がいて、子どもがそれに対して質問したりすると、余計に前へ進まない。館内全体に手作り感があふれ、根っから魚が好きなスタッフの、ワクワク感が伝わってくるのがいい。われわれ虫屋の原点と重なるものを感じた。

「ネズミ」がこれだけの芸をやれば拍手喝采もの。
「ネズミ」がこれだけの芸をやれば拍手喝采もの。

 さて、お目当てのカピバラショーは11時15分から。20分前に行くと、あっという間に人だかりが出来て、せっかく前に陣取ったけれど、でかい図体の大人は遠慮して後ろへ下がる。雅恵は小柄なので、前列にいて子どもたちに紛れていても何ら違和感がない。

 いよいよ始まったカピバラショーは、たったの5分で終わってしまった。オスの海(うみ)くんはなぜか餌に全く興味を示さず、スタッフのおにいさんが餌でつって芸をさせようとしても、無関心を決め込んでいる。何とか芸をさせようと一生懸命誘ったり懇願したりするが、我れ関せず。ただそれだけのことで見物客の笑いをとれるのだから、スゴいといえばスゴい。結局のところというか当然のようにというか、「おにいさんの冷や汗トークショー feat.カピバラの海くん」のようになってしまったが、それでも突然何を思いついたかおもむろに歩を進め、1回だけ輪くぐりをやってのけた。

 「カピバラショー」などという奇想天外なことを思いつき、出来ても出来なくてもやってしまって、「やらない姿」で十分に笑いをとっていた。

 ショーとしては終わってしまったが、この後はメスの空(そら)ちゃんの給餌タイムで、こちらは餌に興味を示すので餌でつってその場で芸を仕込む。すでに「お手」「お回り」「立っち」はほぼ滞りなくこなす。「ネズミ」がこれだけの芸をやれば拍手喝采ものである。

 雅恵はすっかり癒され、十分満足したようすだった。

私 「癒し系の巨大ネズミなら、わが家にもいる(私はネズミ年生まれ)から、わざわざ行くこともなかったかな」

雅恵「わが家の巨大ネズミは、ちっとも癒してくれないわよ」

私 「オレって、癒し系じゃない?」

雅恵「私の言うことを全然聞かないから、イライラするだけね」

私 「全然言うことを聞かないのは、カピバラも同じじゃん」

雅恵「確かにそうだったわね(笑)」

 これって何だか不公平だと思うんだけど、みなさん、どう思います?

竹島水族館(愛知県蒲郡市)
竹島水族館(愛知県蒲郡市)