毎年この時期になると、自宅の庭にヒメアカタテハがやってくる。どこで発生しているのか分からないが、かなり新鮮な個体もいるので自宅付近でも発生しているらしい。
都市化の進行によって自宅周辺で見られる蝶がどんどん減っているなか、逆に増えている蝶がわずかながらいる。ヒメアカタテハもその一つだ。かつて、本種はこの近辺ではかなりの珍品だった。中学生で蝶の収集に熱を入れ始めたころ、名古屋市内でも本種が採れていることを知って、メインフィールドにしていた千種区の平和公園や名東区の猪高緑地でいつも目を光らせていたが、遂に見かけることはなかった。私が本種を初めて採集したのは高校2年の夏の新穂高温泉である。
それがいつのころからか自宅庭で見かけるようになり、最近では秋になると決して珍しくない。今日の午前中、ゴーヤの緑のカーテンを撤去するため庭に出ると、本種が花に来ていて写真に収めた(上の写真)。極めて新鮮な個体。午後に来た個体は幾分傷んでいたので別個体と思われる(下の写真)。
ヒメアカタテハが増えている原因はよく分からないが、どうやら本種は元々乾燥した気候に強い種とのことなので、温暖化によって乾燥化の進む都市部に適応しているのではないだろうか。そうしてみると、本種が増えていること自体決して喜ばしいことではないはずだが、中高生の頃に憧れた蝶が自宅の庭にやってくると、思わず頬を緩めてしまうのであった。
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