わが家では、毎年緑のカーテンでゴーヤを栽培している。最初の年はプランターで栽培したため夏場の水枯れが厳しく、その反省から、翌年は掃き出しの前にミニ菜園をこしらえて地植えにしたところ、右の写真のような会心の出来栄え!となった。
これに気を良くして3年目以降も同じように地植えにしているが、どうも上手くいかない。どうやらゴーヤは連作を嫌うということのようで、そこで、土づくりにいろいろ工夫を重ねて毎年挑戦しているが、結局いつも中途半端な出来に終わっている。
下の写真が今年の出来で、「緑のカーテン」というよりも、さしずめ「緑のレースのカーテン」といった感じ。それでもこれまでは、ゴーヤの実そのものはわが家の食卓に並ぶに十分なほど収穫できていた。
異変を強く感じたのは昨シーズンからである。花は付くのに実が付かない。これは言うまでもなく、受粉する虫がいないことを意味する。それでも昨シーズンは9月の声を聞いた途端に南からの使者イチモンジセセリが大挙してやってきて、わが家のゴーヤも実を結ぶようになった。
それが今シーズンは、9月に入ってもいっこうに実を結ばないまま、遂に10月を迎えてしまった。わが家の庭で普通に観られる虫といえばヤマトシジミぐらいだが、ヤマトシジミは言わずと知れた「地這いシジミ」なので、下の方でウロチョロしているだけで上の方までなかなか飛んでいってくれない。もちろん、ヤマトシジミの働きが悪いとかそういう問題ではなくて、他の虫がいなくなったことが問題だ。特にアシナガバチを始めとするハチ類が、2-3年前と比べて激減したように感じる。新聞報道は温暖化によ
って都会のスズメバチが増えたとか言って警鐘を鳴らしているが、正直そんな実感はない。
虫が激減していることに危機感を覚えるのは、もしかすると虫屋だけなのだろうか。もしかしなくても、きっと虫屋だけなのだろう。農家はいったいどうなのか。虫が激減しているのは都市部だけで、野菜や果樹栽培に影響が出るほど農村部では虫は減っていないのかもしれない。
しかし、地球上のありとあらゆる環境に適応して暮らしていると言われる昆虫が、その昆虫さえもが住めない環境に、きっと人は住めない。実際のところ、昨今の真夏の名古屋の街は、すでに人間が人間らしく暮らせる環境でないと私には思える。スズメバチの増加もさることながら、これだけ虫がいなくなっているというこの事実こそが一大事なのだと、昆虫少年的には声を大にして叫びたい。
【写真】上段左右:わが家の庭のイチモンジセセリ、下段:同じくヤマトシジミ
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